溢れる病気情報に疲れた時。私が実践した「信頼できる情報源」の探し方と情報の整理術
診断後の情報収集、混乱と不安の中で
難病と診断されて間もない頃、多くの方がまずインターネットで病気について調べ始めるのではないかと思います。私もそうでした。病名を知り、これからどうなるのだろうという漠然とした不安から、少しでも多くの情報を得たいと夢中で検索しました。
しかし、インターネット上には本当に様々な情報が溢れています。最新の治療法から、個人的な体験談、根拠不明の民間療法まで、玉石混交の情報に触れるうちに、私はかえって混乱し、不安が増大するのを感じました。検索すればするほど、「これは本当だろうか?」「何を信じればいいのだろう?」という疑問ばかりが膨らんでいったのです。夜遅くまで情報を見てしまい、疲労困憊してしまう日もありました。
病気とどう向き合っていくかを考える上で、情報は確かに重要です。しかし、その情報に振り回され、心身ともに疲弊してしまうのは本末転倒です。この体験を通して、私は「やみくもに情報を集める」のではなく、「信頼できる情報を選び取り、整理する」ことの重要性を痛感し、自分なりの方法を模索するようになりました。
信頼できる情報源を見つけるために私が試したこと
情報収集のやり方を見直すきっかけは、ある日、古い情報や誤った情報を見て、不要な心配をしてしまったことでした。それ以来、私は情報の「質」を意識するようになりました。
私が信頼できる情報源として参考にしているのは、主に以下のようなものです。
- 公的な機関のウェブサイト: 厚生労働省や国立研究開発法人などのサイトは、病気に関する基本的な情報や指定難病に関する情報が正確で信頼できます。
- 病気を専門とする医療機関のウェブサイト: 大学病院や専門病院のウェブサイトには、その病気に関する解説や最新の研究情報が掲載されていることがあります。医師が監修している場合が多く、安心できます。
- 患者会のウェブサイトや発行物: 患者会は、同じ病気を持つ人たちが集まるため、日々の生活に役立つ具体的な情報や、行政の支援制度に関する情報など、患者目線での情報が豊富です。医療従事者や専門家が監修していることも多いです。
- 専門医から直接得る情報: やはり一番信頼できるのは、担当医や専門医から直接聞く情報です。疑問に思ったことやインターネットで見つけた情報について、診察時に質問するように心がけています。
個人的な体験談ブログやSNSでの情報も、同じ病気の方がどう暮らしているかを知る上で参考になることはあります。しかし、それはあくまで個人の経験であり、全ての人に当てはまるわけではないということを常に意識するようにしました。「この方はこうやって乗り越えているんだな」とか「こういう工夫があるんだな」というヒントとして捉え、鵜呑みにしないように気をつけています。
情報の更新日を確認すること、情報の発信元が明確であること、そしてその情報に科学的な根拠や出典が示されているかどうかを見極める習慣をつけるように努めました。
混乱しないための情報の整理術
情報を集めるだけでなく、それを自分にとって分かりやすい形に整理することも、混乱を防ぐ上で非常に有効でした。
私が実践している整理方法の一つは、ノートにまとめることです。インターネットや書籍で得た情報、医師からの説明などを、病気の基本的な情報、症状、治療法、日常生活での注意点、利用できる制度、気になること、質問したいこと、というように項目別に書き出していきます。自分なりに言葉をかみ砕いてまとめることで、理解が深まります。
また、ウェブサイトの情報で特に重要だと思ったページは、パソコンやスマートフォンのブックマークにフォルダ分けして保存したり、PDFとして保存したりしています。必要な時にすぐに情報にアクセスできるようにするためです。
情報の取捨選択も重要です。「今すぐ必要な情報」なのか、「将来的に知っておけばいい情報」なのかを意識し、優先順位をつけるようにしました。診断直後は、病気の基本的なこと、現在の治療に関すること、行政の支援制度など、直近で必要になる情報に焦点を当てるように心がけました。
そして何より大切なのは、情報を追いすぎない時間を作ることです。情報収集に疲れたら、一度パソコンやスマートフォンから離れ、好きな音楽を聴いたり、軽い運動をしたり、リラックスできる時間を持つようにしました。心が落ち着いている時の方が、情報も冷静に判断できると感じています。
情報と賢く付き合い、自分らしく病気と向き合うために
難病と共に生きていく上で、病気に関する正しい知識を持つことは心強い味方になります。しかし、情報の波にのまれて疲れてしまっては意味がありません。
私の経験から学んだのは、信頼できる情報源を選び、自分にとって必要な情報を整理し、そして何よりも自分の体や心の声に耳を傾け、医師とのコミュニケーションを大切にすることです。情報はあくまで、病気と向き合うための「ツール」の一つです。
情報収集のペースは人それぞれです。焦る必要はありません。自分自身のペースで、必要な情報を少しずつ、そして賢く取り入れていくことが大切だと感じています。もし今、情報に疲れてしまっている方がいれば、情報の海から一度離れて、心身を休めることも考えてみてください。そして、信頼できる情報源から、一歩ずつ情報を得ていくことを試してみてはいかがでしょうか。一人で抱え込まず、必要であれば医療者や患者会にも相談しながら、情報と上手に付き合っていくことを応援しています。