つむぐ体験談

難病と診断されてすぐ、医師との話が難しかった時。疑問を解消し、納得して治療を進めるために私がしたこと

Tags: 難病, 診断後, 医師との連携, コミュニケーション, 治療への向き合い方

診断直後、医師とのコミュニケーションに戸惑った経験

難病と診断されたばかりの頃は、誰もが大きな不安を抱えていることと思います。私もそうでした。病名を聞いてもピンと来ず、医師から説明を受けても専門用語が多く、内容が頭に入ってこない。まるで自分とは関係のない遠い世界の出来事のように感じていました。

診察室では、限られた時間の中で矢継ぎ早に話が進み、疑問に思うことがあっても、うまく言葉にできなかったり、先生に質問して良いのかためらってしまったりすることがよくありました。「今の説明は、結局どういうことなのだろう」「自分のこの症状は、先生に伝わっているだろうか」といった消化不良な気持ちを抱えたまま診察室を出て、後から不安が募る、という日々でした。

病気についてもっと理解したい、今後の治療や生活について知りたいと思っても、何をどのように尋ねれば良いのか分からない。誰に相談すれば良いのかも分からず、一人でぐるぐる考えてしまうこともありました。このままでは、病気と向き合う一歩を踏み出すことも難しいと感じていました。

疑問を解消し、納得して治療に向き合うための具体的な工夫

こうした状況を少しでも改善し、自分が納得して治療と向き合っていくために、私はいくつか工夫を試みるようになりました。どれもすぐに効果が出たわけではありませんでしたが、続けていくうちに、医師とのコミュニケーションが少しずつスムーズになり、病気への理解が深まるのを感じることができました。

1. 診察前に「聞きたいことリスト」を作成する

診察中は緊張してしまったり、先生の話を聞くのに必死で質問事項を忘れてしまったりすることがありました。そこで私は、診察の前に必ず聞きたいことをメモしておくようにしました。

箇条書きで簡単にまとめておくだけでも、診察中に手元で見返すことができ、質問しやすくなりました。また、自分の体調を客観的に振り返る良い機会にもなりました。

2. 医師の説明をメモし、後から専門用語を調べる

診察中に医師が説明してくださる内容は、自分にとって新しい情報ばかりで、その場で全てを理解するのは困難でした。そこで、先生の話される中で特に気になった言葉や病名、検査名などを、可能な限りメモするようにしました。

診察後、メモを見ながらインターネットや病気に関する書籍で、意味が分からなかった専門用語について調べました。信頼できる情報源(病院のウェブサイト、公的な機関のウェブサイト、専門医が監修した情報など)を選ぶように注意しました。一つずつ意味を理解していくことで、点と点が線になり、医師の説明全体の理解が深まっていくのを感じました。分からないことをそのままにしない積み重ねが、不安の軽減に繋がったと思います。

3. 質問のハードルを下げる工夫

「こんなことを聞いても良いのだろうか」とためらう気持ちは常にありましたが、勇気を出して質問するための工夫もしました。

例えば、「今の先生のお話は、〇〇ということでしょうか?」と、自分の言葉で言い換えて確認するようにしました。これは、理解が合っているか確認できるだけでなく、医師が「この患者さんはこの点を気にしているのか」と把握するきっかけにもなります。

また、「分からないのですが、もう少し詳しく教えていただけますか?」と正直に伝えることも大切だと気づきました。医師は病気の専門家ですが、患者自身の体の専門家は患者自身です。お互いが正確な情報を共有するためには、遠慮しすぎないコミュニケーションが必要だと考えるようになりました。

4. 信頼できる人と一緒に診察を受ける

一人で診察を受けるのが心細い時や、内容をしっかり覚えておきたい時には、家族や信頼できる友人に付き添ってもらうことも検討しました。一緒に話を聞いてもらうことで、自分一人では聞き漏らしてしまったことを補ってもらえたり、診察後に一緒に内容を整理したりすることができました。誰かと共有することで、抱え込んでいる不安が和らぐのを感じました。

コミュニケーションを通して得られた変化

これらの工夫を実践していくうちに、医師とのコミュニケーションに対する苦手意識は少しずつ薄れていきました。自分の体調や疑問点を正確に伝えられるようになり、医師からの説明も以前より落ち着いて聞けるようになりました。

何よりも大きかったのは、病気や治療に対する「分からない」が減り、漠然とした不安が具体的な課題へと変化していったことです。完全に不安が消えるわけではありませんが、「この疑問点は次の診察で聞いてみよう」「この症状についてはこう対処してみよう」と、自分でコントロールできる部分があると感じられるようになったのです。

医師との間に信頼関係が築かれていくのを感じられたことも、心の支えとなりました。一方的に指示を受けるのではなく、一緒に病気と向き合っていくパートナーなのだと思えるようになったことは、治療を続けていく上で非常に大きな力となりました。

焦らず、あなた自身のペースで

病気と診断されてすぐは、心身ともに大きな負担がかかっている時期です。医師とのコミュニケーションに難しさを感じるのは、あなただけではありません。専門的な話についていけないこと、何を質問して良いか分からないことは、決して恥ずかしいことではありません。

大切なのは、完璧を目指さないことです。まずは「聞きたいことリストを一つだけ作ってみる」「診察中に一つだけメモを取ってみる」など、小さな一歩から始めてみてください。そして、分からないこと、不安なことがあれば、遠慮せずに伝えてみてください。あなたの声は、医師がより適切な医療を提供する上で、とても大切な情報になります。

少しずつ、あなた自身のペースで、病気や治療について理解を深め、納得して向き合っていく道が開けることを願っています。一人で抱え込まず、信頼できる人と話し合ったり、この記事が少しでもそのヒントになれば嬉しく思います。