難病と診断され、自分の体に違和感を抱いた時。不安な変化との向き合い方、私が見つけたヒント
難病と診断されたばかりの頃、病名を受け止めるのに精一杯で、日々の体調の変化にはあまり注意を払えていませんでした。しかし、しばらく経つと、それまでにはなかった体のサインや、以前とは違う「違和感」を感じ始めるようになりました。
例えば、少し動くとやけに疲れる、特定の場所がじんわりと痛む、あるいは今まで気にも留めなかった体の感覚に敏感になった、など。これらの小さな変化に気づくたび、「これは病気と関係あるのだろうか」「病気が進行しているのかもしれない」と、漠然とした不安が胸に広がりました。
体の変化に気づいた時の戸惑いと不安
診断前に感じていた体の不調とは違う、新しい種類の違和感。それは、自分の体が「今までとは違うものになってしまった」という感覚に近いものでした。友人や家族と話していても、自分の体の中で起こっている変化は自分にしか分からず、言葉にしても伝わりにくいと感じることもありました。
インターネットで検索してみても、症状に関する情報が多すぎて、自分の感じていることがどれに当てはまるのか、そもそも検索結果が正しいのかも分からず、かえって混乱することもありました。一人で抱え込み、不安だけが膨らんでいくような日々でした。
この体の変化に対する不安は、「この先どうなるのだろう」という漠然とした将来への不安と強く結びついていました。今まで「当たり前」だと思っていた自分の体が、自分の意志とは関係なく変化していくことへの恐れがあったのだと思います。
不安な体の変化と向き合うために私が試したこと
このような体の違和感や変化、そしてそれに伴う不安と向き合うために、私が試したいくつかのことがあります。すべてがすぐに効果があったわけではありませんが、少しずつ気持ちが楽になり、体との付き合い方が分かってきたように感じています。
1. 体の変化を「記録」してみる
まずは、感じた体の変化を具体的に記録することから始めました。ノートに手書きしたり、スマートフォンのメモ機能を使ったりしました。いつ、どのような症状や違和感があったか、その時何をしていたか、何か対処をしてみたか、その結果どうなったか、などを書き留めました。
この記録は、単なる日記ではなく、体との「対話」を始めるきっかけになりました。漠然とした不安だったものが、「○月○日にはこんな痛みがあったけれど、安静にしたら和らいだ」という具体的な情報に変わることで、少し冷静に自分の体を見つめられるようになったのです。
また、この記録は後述する医師とのコミュニケーションにも役立ちました。
2. 信頼できる情報源から学び、自分の体の「個性」を知る
体の変化に不安を感じると、ついインターネットで様々な情報を調べてしまいがちです。しかし、情報過多になったり、不正確な情報に振り回されたりすることもありました。
そこで、私は信頼できる情報源(主治医、病気に関する公的なサイト、患者会など)から、自分の病気に多く見られる症状や、体の変化について学ぶようにしました。すべての症状が自分に当てはまるわけではありませんが、病気の一般的な経過や起こりうる変化を知ることで、「これは病気の一部かもしれない」「このような対処法があるのか」と、少し心構えができるようになりました。
ただし、情報に振り回されすぎず、「自分の体は病気の教科書通りではない」ということを意識することも大切だと感じています。あくまで参考として、自分の体の「個性」を知るために情報を活用する、という姿勢を心がけました。
3. 医師に具体的な体の変化を伝える努力をする
通院時、医師に「最近、体調はどうですか?」と聞かれても、漠然とした答えしかできないことがよくありました。しかし、先ほど記録した体の変化を具体的に伝えることで、医師も状況を把握しやすくなります。
例えば、「○月頃から、週に数回、夕方になると決まって足の付け根に痛みを感じます。特に立っている時間が長いと強くなるようです。湿布を貼ると少し楽になります」のように、時期、頻度、部位、痛みの質、関連する状況、試したことなどを具体的に伝えられるようにしました。
また、体の変化に関する自分の不安や疑問も率直に医師に伝えるように努めました。「この痛みは病気と関係ありますか?」「もし悪化した場合、どのような治療法がありますか?」など、気になることはメモしておき、診察時に聞くようにしました。すべてがすぐに解決するわけではありませんが、専門家に相談することで安心できることも多かったです。
4. 体のサインに正直になり、「無理をしない」工夫を取り入れる
以前の自分であれば、少し疲れても「大丈夫、大丈夫」と無理をしてしまうことがよくありました。しかし、難病と診断され、体の変化を感じるようになってからは、体のサインに耳を澄ませ、正直になることの大切さを痛感しました。
「今日はいつもより体が重いな」「この動きをすると痛むな」といった体の声を聞いたら、無理せず休憩をとる、予定を変更するなど、柔軟に対応するようになりました。これは決して怠けているのではなく、体が必要としている休息を与えているのだと考えるようにしました。
また、日々の生活の中で、少しでも体への負担を減らすための具体的な工夫も試しました。例えば、重い荷物は無理せず配送サービスを利用する、座ってできる作業は座って行う、休憩時間には短いストレッチを取り入れるなど、自分の体の状態に合わせた方法を見つけていきました。小さな工夫ですが、これらを積み重ねることで、大きな不調を避けることができる場合もあると学びました。
体の変化との向き合いから見えてきたこと
体の変化に不安を感じ、戸惑っていた時期を経て、私は自分の体と少しずつ「歩み寄る」ことができるようになってきたと感じています。体の変化は、時に予測できず、受け入れがたいものであるかもしれません。しかし、それに抗うのではなく、まずは「今、自分の体はどういう状態なのだろう?」と耳を傾け、理解しようと努めること。そして、その状態を受け入れた上で、今できる工夫を一つずつ試していくこと。この過程が、不安を和らげ、自分なりのペースで病気と共に歩む道を見つける一歩になるのだと学びました。
体の変化との向き合いは、きっとこれからも続いていくことでしょう。でも、それは決して怖いことばかりではありません。自分の体と丁寧に向き合うことで、今まで気づかなかった自分の体の声や、自分自身の新しい一面を発見することもあります。
もし今、体の変化に戸惑い、不安を感じている方がいらっしゃるなら、あなたは一人ではありません。多くの難病と共に生きる人々が、同じような経験をしています。完璧にコントロールしようと焦る必要はありません。まずは小さな一歩として、自分の体の声に耳を澄ませてみることから始めてみてはいかがでしょうか。一つずつ、自分に合った向き合い方や工夫が見つかることを願っています。