つむぐ体験談

難病と診断されて変わった「ふつうの生活」。日々の小さな困りごとを解決した私の工夫

Tags: 難病, 日常生活, 工夫, 体験談, 家事

難病と診断された時、頭が真っ白になり、これからどうなるのだろうという漠然とした不安に襲われました。同時に、「今まで通りの普通の生活が送れなくなるのではないか」という恐れも強く感じていました。

診断を受けてしばらく経つと、それまで意識していなかった体の変化に気づくことが増えてきました。以前は当たり前にできていたことが、少しずつ難しくなったり、時間がかかったりするようになったのです。重いものを持つのがつらい、立ちっぱなしで料理をするのが疲れる、朝なかなか起き上がれない、予定通りに体が動かない...。

こうした「小さな困りごと」が積み重なるにつれて、「自分はもう普通じゃないんだ」という気持ちになったり、周囲と比べて焦りを感じたりすることもありました。しかし、このままでは日々の生活が立ち行かなくなるという現実にも直面し、少しずつ自分なりの工夫を始めることにしました。

日々の困りごとと、私が見つけた「小さな工夫」

診断後、私の日常生活で特に困ることが増えたのは、家事や身支度、そして買い物の時間でした。

家事の負担を減らす

例えば、料理です。以前は週末にまとめて作り置きをしたり、凝った料理に挑戦したりするのが好きでした。しかし、長時間キッチンに立ち続けることが難しくなり、億沢に感じる日が増えました。

そこで、まずは「完璧な料理」を目指すのをやめました。スーパーのお惣菜や冷凍食品、ミールキットなどを積極的に活用することにしました。最初は少し抵抗がありましたが、「これは手抜きではなく、体力を温存するための賢い選択だ」と考えるようにしました。また、食器洗いは食洗機に頼る、掃除はロボット掃除機に任せるなど、家電の力も借りるようにしました。全てを一度に変えるのではなく、「これだけならできそう」という小さなことから始めてみるのが良かったと思っています。家族に頼ることも覚えました。「これをお願いしてもいい?」と具体的に伝えることで、家族も自然と協力してくれるようになりました。

負担の少ない身支度

朝の身支度も、以前より時間がかかるようになりました。疲労感が強かったり、体のこわばりがあったりする日には、着替えだけでも一苦労でした。

そこで、着心地が良くて体の負担にならない服を選ぶようにしました。締め付けの少ないもの、着脱しやすいデザインのものなどです。おしゃれをすることを楽しむ気持ちも大切にしたかったので、楽な中でも自分が気に入る色やデザインのものを選ぶように心がけました。また、時間に余裕を持って行動し、途中で休憩を挟むことも意識するようになりました。

買い物の新しい形

買い物も、重い荷物を持つのが難しくなったり、人混みで疲れてしまったりすることがありました。

これも、工夫次第で負担を減らせることが分かりました。ネットスーパーや食材宅配サービスを利用する頻度を増やしました。実際に店舗に行く必要がある場合は、混雑する時間帯を避けたり、カートを積極的に利用したり、少量ずつ頻繁に行くようにしたりしました。荷物を自宅まで配送してもらえるサービスを活用するのも良い方法だと気づきました。

大切なのは、「できること」に目を向けること

こうした工夫を始めた最初の頃は、「以前のようにできない自分」に落ち込むこともありました。しかし、工夫を重ねるうちに、「できないこと」に目を向けるのではなく、「どうすればできるか」「これならできそう」という視点に変わっていきました。

大切なのは、他人や診断前の自分と比べるのではなく、今の自分の体調や状況に合わせて、無理なく続けられる方法を見つけることだと実感しています。完璧を目指さず、時には手を抜くことも自分を大切にすることにつながります。そして、一人で抱え込まず、家族や利用できるサービス、制度などに頼る勇気を持つことも非常に重要だと感じています。

日々の小さな困りごとへの工夫は、生活の負担を減らすだけでなく、心の余裕にもつながりました。「これならできる」という感覚は、失いかけた自信を少しずつ取り戻す助けにもなったのです。

最後に

難病と共に生きる日常には、多かれ少なかれ困難が伴います。しかし、その中でも、自分自身の体と心に耳を傾けながら、一つずつ丁寧に向き合い、工夫を重ねることで、暮らしは少しずつ変わっていく可能性があります。

私の経験が、今まさに日々の生活で困りごとを抱えている方や、「普通」が変わってしまったことに戸惑っている方にとって、何か一つでも「これなら試せるかもしれない」というヒントになれば幸いです。そして、困難な状況の中でも、少しでも自分らしい日々を送るための一歩を踏み出す勇気につながることを願っています。