つむぐ体験談

難病の診断名に戸惑った時、病気と共に歩む道を見つけ始めた私の体験

Tags: 難病, 診断, 受け入れ, 心のケア, 体験談

診断名を聞いた日のこと

難病という言葉を医師から告げられた時、頭が真っ白になったことを覚えています。それまで感じていた体の不調に病名がついた安堵感と同時に、「難病」という言葉が持つ響きに、漠然とした不安と恐怖が押し寄せました。診断名は、まるで自分に貼られたレッテルようで、簡単には受け入れられませんでした。

なぜ自分なのか。この病気になったら、これからどうなるのか。今までできていたことが、すべてできなくなるのだろうか。そんな考えばかりが頭の中を駆け巡り、診断名を聞いた日からしばらくは、自分が病気であるという現実を否定したい気持ちと、どうしようもない不安の間で揺れ動いていました。眠れない夜が増え、食事も喉を通らない日々が続きました。

病名を受け入れられない自分との葛藤

診断名を知った後、一番つらかったのは、病気を受け入れられない自分自身でした。友人や家族に話そうと思っても、言葉にするのが怖く、結局一人で抱え込んでしまうことが多かったのです。「元気そうだね」と言われるたびに、本当の自分を隠しているようで罪悪感を感じ、さらに孤独を深めていきました。

インターネットで病名について調べても、難しい医療用語や、重症化した方の情報ばかりが目に入り、さらに不安を煽られることもありました。情報が多すぎて、何が正しいのか、自分に当てはまる情報はどれなのか判断できず、混乱は増すばかりでした。自分の病状や今後の見通しについて、医師に質問したいことがあっても、うまく整理できず、診察室で言葉に詰まってしまうこともありました。

小さな一歩として実践したこと

診断名に戸惑い、受け入れられない自分に苦しんでいた私が、少しずつ前を向き始めるために実践したことがいくつかあります。

1. 信頼できる人に「話してみる」ことから始めた

最初の一歩は、一番信頼できる家族に、正直な気持ちを話すことでした。「病名を受け入れられなくて怖い」「これからどうなるか不安だ」と、感情をそのまま言葉にしました。話している途中で涙が止まらなくなりましたが、話を聞いてもらったことで、一人で抱え込んでいる重荷が少し軽くなったように感じました。話を聞いてくれた家族が、無理に励ますのではなく、ただ寄り添ってくれたことも、大きな支えになりました。

2. 病気について「少しずつ」理解しようとした

インターネットの情報に振り回された経験から、信頼できる情報源を見つけることに集中しました。主治医におすすめの書籍やウェブサイトを聞いたり、公的な機関が提供している情報を参考にしたりしました。一度に全てを理解しようとせず、自分の病気について、まずは基本的な情報から、焦らず少しずつ学んでいきました。病気について少しずつ理解が進むにつれて、漠然とした不安が、具体的な課題へと変わり始め、対策を考えることができるようになりました。

3. 「完璧に受け入れよう」という考えを手放した

診断名を受け入れるということは、「病気になる前の自分に戻れない」という現実を受け入れることだと感じ、それが苦しかったのだと気づきました。しかし、「完璧に受け入れなければならない」というプレッシャーが、自分をさらに追い詰めていることにも気づきました。

「完全に受け入れられなくても大丈夫」「戸惑いや不安があって当然」と、自分に許可を出しました。病気と共に生きることは、病気を受け入れることとイコールではなく、病気がある自分として、どうすれば心穏やかに、自分らしく生きられるかを考えることなのだと思えるようになりました。

病気と共に歩む道を見つけ始めた時

診断名への戸惑いを乗り越え、病気と共に歩む道を見つけ始めたのは、これらの小さな一歩を踏み出した後でした。病気について少しずつ理解し、信頼できる人に話を聞いてもらう中で、私は一人ではないことを強く感じました。

同じ病気と向き合う他の患者さんの体験談を読む機会もありました。そこには、私と同じような戸惑いや困難があり、それを乗り越えるための具体的な工夫や、前向きに生きるためのヒントがたくさんありました。自分と同じように苦しんでいる人がいること、そして、それでも希望を持って生きている人がいることを知った時、「自分にもできるかもしれない」という希望が心に灯りました。

病気との向き合い方は人それぞれ違うということも学びました。自分にとって何が大切か、どのようなペースで病気と向き合っていくか、自分自身に問いかけながら、自分らしい歩み方を見つけることの大切さを実感しています。

最後に

難病の診断名を聞いた時、その重みに立ち尽くしてしまうことは自然な反応だと思います。病名を受け入れられない自分を責める必要はありません。戸惑いや不安は、あなたが真剣に自分の人生と向き合っている証拠です。

診断名を受け入れることは、決して後ろ向きなことではなく、新しい自分として、病気と共にどのような人生を歩んでいくかを考え始めるためのスタート地点なのだと思います。時間はかかるかもしれませんが、信頼できる人と気持ちを分かち合い、病気について少しずつ学び、自分自身の心と体と丁寧に向き合っていく中で、あなたにとっての「病気と共に歩む道」がきっと見つかるはずです。

この記事が、今、診断名に戸惑いを感じている方にとって、少しでも心の支えとなり、自分らしい一歩を踏み出すためのヒントになれば幸いです。