つむぐ体験談

難病と診断されて「前と同じように」と焦る必要はないと思えた時:小さな工夫で新しい日常を築くヒント

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診断直後の混乱と、「前と同じように」への焦り

難病と診断された時、頭が真っ白になり、自分がこれからどうなってしまうのだろうという漠然とした不安に襲われる方は少なくないと思います。私もそうでした。特に、診断を受けるまで当たり前だと思っていた日常が、病気によって少しずつ、あるいは大きく変わってしまうことを実感した時、「もう以前のような生活は送れないのではないか」という喪失感や、「なんとか前と同じように戻さなければ」という焦りを感じていました。

好きなことに以前のように取り組めなくなったり、疲れやすくて外出をためらったり、家事も思うように進まなかったり。そんな「できないこと」が積み重なるたびに、自分自身を責めてしまうこともありました。「どうして私はこんなこともできないのだろう」「みんなは普通にできているのに」と、落ち込む日々を送っていたのです。

「前と同じ」に固執することの難しさ

「前と同じように」と願う気持ちは、それまで積み上げてきた自分や、当たり前だった日常への愛着からくるものだと思います。しかし、病気という変化を受け入れずに過去の自分に固執しようとすると、無理が生じ、かえって心身の負担が増えてしまうことがあります。

私も、体調が優れないのに無理をして友人の誘いに乗ったり、疲れているのに完璧に家事をこなそうとしたりして、後からぐったり疲れて寝込んでしまう、という経験を繰り返しました。そのたびに、「やっぱり自分はダメだ」とさらに落ち込んでしまい、悪循環に陥っていたのです。

考え方の転換:「新しい日常を築く」という視点へ

そんな中で、少しずつですが考え方が変わっていきました。ある時、主治医の先生から「病気と上手く付き合いながら、今の自分にできることを見つけていきましょう」という言葉をかけていただいたことがきっかけでした。「前と同じ」に戻すことばかり考えていた私は、「今の自分にできること」という視点を持っていませんでした。

病気によって体調やできることが変わるのは、仕方のないことなのだと、ようやく腑に落ちたのです。そして、過去の自分と比較するのではなく、「今の自分にとって心地よい、無理のない生活を新たに築いていこう」という考え方にシフトすることができました。

新しい日常を築くための具体的な工夫

この考え方の転換から、私は具体的な工夫を日常生活に取り入れるようになりました。すべてを一度に変えるのではなく、できることから少しずつ試していったのです。

これらの工夫は、どれも特別なことではありません。ほんの小さな調整や、考え方の変化です。しかし、これらを実践するうちに、「前と同じ」ではないけれど、今の自分にとって無理がなく、心地よいと感じられる「新しい日常」が少しずつ形作られていくのを感じることができました。

小さな一歩が希望に繋がる

難病と診断され、これまでの日常が変化してしまうことは、大きな不安を伴う経験です。特に診断間もない頃は、「これからどうなるのだろう」という先の見えない恐れや、以前のようにできないことへの焦りでいっぱいになるかもしれません。

しかし、「前と同じように」と焦る必要はありません。病気と診断されたからといって、あなたの価値や可能性が失われるわけではないからです。大切なのは、今の自分自身の状態を受け入れ、過去の自分や他人と比較するのではなく、「今の自分にできること」に目を向け、自分自身に優しくあることです。

一つ一つの小さな工夫が、やがて新しい日常を築く土台となります。そして、その新しい日常の中に、これまでとは違う形での楽しみや喜び、そして希望を見出すことができるはずです。焦らず、あなたのペースで、できることから少しずつ始めてみてください。あなたは一人ではありません。